Garden―アイの庭へようこそ―

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あまいぞ! 絵里香黄金水

「・・・んっ、あっ、ふぁっ、だ、ダメだってばぁ、りょ、涼、そこは汚いから、ね?」

何回目だろう、絵里香のこんな顔を見るのは。
身をよじらせての抵抗――しているのか感じているのかどうかは微妙なところだが――にも、舌の動きを止める気はさらさら無かった。

「だ、だからっ! ダメダメダメーーーっ!」

そろそろ我慢も限界が近いようだ。
もう少しだ。もう少しで、絵里香の・・・。

「うぁ、ああっ、ふぁああ・・・」

そうだ、絵里香が悪いんだ。
あんな、誘うような素振りをされて僕が黙っていられるわけがないのを知っているくせに。
だから、僕は止めない。

「あっ、はっ、ごめ、ぁああああ・・・」

ぷしゃあああああああ。

温かい。
――そして、甘い。

掛けられた。思いっきり。顔に。

十数秒といったところだろう。
だが、その至福の時は永遠に続くかと思われるほど、僕の心を奪った。

「ご、ごめんね・・・涼。さっきのイチゴミルクのせいかも・・・って、うおおおい、何で飲んでますかこの人は!」
「もったいないから・・・かな。絵里香のだし」

自分でも何がもったいないのかわからないが、とにかく全て飲み干す勢いは必要だと感じた。
だから飲んだ。
だって、それは黄金色に輝く聖なる水だから。

「もったいないって、えーっ? だっておしっこだよ? 老廃物! 汚いし、おいしくないでしょー?」
「・・・いや、甘かった」

確かに甘かった。僕の脳がそう訴えかけている。
イチゴミルクがそのまま出てきたってわけでもないだろうが。
糖度とか、そんなものは関係ない。今は僕の感じた味が全てだ。
錯覚かもしれないが、絵里香の尿は甘いんだ。これは自信を持って断言できる。

「いやいやいや、甘くないから! 私、糖尿病じゃないんで、ふぁっ、・・・って何でまた舐めるのかなキミは!」
「もったいないから・・・かな。絵里香のだし。・・・それにシーツが汚れるし」
「さ、さっきと同じ台詞じゃんかそれー。しかも最後のは取ってつけたみたいな理由だし。 それも凄い嬉しそうに舐めましたよ、ペロって。ペロって!」

二回も言わなくてもいいんじゃないか。
――舐めたのは事実だけれど。

「いや、だから、もったいないし、これは僕のものだ。誰にも渡さない」
「わ、渡すとか渡さないとか、そ、その、おしっこだよ? いいの?」

いいの? と聞いてくる絵里香は首まで羞恥の朱に染まり、ますます僕の衝動を駆り立てる。

「絵里香は僕のものだ。つまり絵里香の体液をすべからく享受する権利を得ているわけで・・・」
「うわー、わけがわかりませんよ? うえーん、私の涼ちゃんが壊れちゃったよー!」
「・・・もし、僕が壊れているとしたら、それは絵里香のせいだ」
「なっ、ちょ! 何でそういうこと真顔で言うかなー。やだ、すっごく恥ずかしいんだけど! ・・・ちょっとだけ嬉しいけどさ」

僕はいつだって大真面目なんだ。少なくとも絵里香に嘘をつくはずがない。
キミが嬉しいと僕も嬉しい。

「ふぁあああ、な、何でまた触るの? もう出ないってば・・・ね? ね?」
「・・・あ」

いつの間にか撫でていたらしい。
無意識にしろ有意識にしろ習慣とは恐ろしい。

「・・・あの、あのね?」
「ん?」

――こんなはしたない女の子を、どうか、嫌いにならないで。
さっきまで羞恥に震えていたその麗しい顔が、今は不安に震えている。

ずるいな、絵里香は。
こんなにも可愛くて、優しくて、愛しくて。
そんなキミに僕が勝てるわけないじゃないか。

だから、その震える絵里香に僕はそっとくちづけた。

「ちょ、そこは違うから! もう出ないから!」
「・・・あれ?」

 

――おしまい―

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